二項アレーは J. S. Stone [1] によって提案された。 素子間隔を0.5波長にしたときに完全にサイドローブを無くすことができる。 素子重み係数の大きさが二項係数 (Binomoal coefficient) で与えられるので二項アレーと呼ばれる。
サイドローブを無くすことができるが、メインビーム幅も広くなってしまい、 狭くすることができない。また素子数が多いとき、 中心素子の振幅は大きいが端部素子の振幅がそれに比べて極端に小さく、 実現が難しいのが欠点である。
[考え方]
二項アレーの考え方、つまりなぜ二項分布で励振係数を与えると サイドローブが消えるのかという理由は文献[2]の アレーオブアレー (Array of Array)の考え方を使うとわかりやすい。
linear 指向性 | dB 指向性 |
極座標表示 | 重み係数 |
素子間隔 | λ/2 |
---|---|
素子数 | 1〜50 |
素子間位相差 | 0 |
素子数を増やすとビームが鋭くなる。 しかし、二項アレーのビームはあまり鋭くならない。
重み係数分布は素子数が多くなると正規分布に近づいていることがわかる。 正規分布のフーリエ変換はまた正規分布になること(逆も成り立つ)、 および波源分布のフーリエ変換が遠方界指向性と対応することを考えると 指向性も正規分布型になっており、フーリエ変換の関係を確認できる。
指向性 | 極座標表示 |
素子間隔 | λ/2 |
---|---|
素子数 | 10 |
素子間位相差 | 0°〜-180° |
一定の素子間位相差を与えることによってメインビームの方向を変えて傾ける ことが可能である。角素子から放射される球面波の位相が揃う方向にメインビームが向く。 素子間隔をλ/2なのでビームを大きく傾けるとグレーティングローブが発生する。
指向性 | 極座標表示 |
素子間隔 | 0λ〜2λ |
---|---|
素子数 | 10 |
素子間位相差 | 0 |
素子間隔を広げるとグレーティングローブが発生する。 メインビーム方向以外の方向から見て位相が完全に揃ってしまう角度 が存在するからである。
2素子 | 4素子 | 8素子 | 16素子 |
素子間隔 | λ/2 |
---|---|
素子数 | 2,4,8,16 |
素子間位相差 | 0 |
[参考文献]