Loss Tangent (tan δ)

2021.2.27 Takuichi Hirano

ここは複素誘電率、誘電正接 tan δ、誘電体損、損失角δについてまとめた計算サイトである。

複素誘電率:誘電率に少し導電率がある場合、導電率の影響を考慮するために誘電率を複素数に拡張して、導電率が0の場合の定式化を利用して伝搬、減衰などの各種特性を計算する。本ページの下部の計算の詳細を見ればその意味は明解である。

伝搬定数はδ (≒tan δ)は小さいことを前提にマクローリン展開で近似的に導出している。


Calculator (σ → Loss Tangent)

Input

Dielectric constant εr
Conductivity σ S/m
Frequency f Hz

Output

Loss tangent tanδ

Calculator (Loss Tangent → σ)

Input

Dielectric constant εr
Loss tangent tanδ
Frequency f Hz

Output

Conductivity σ S/m

Calculator (Propagation Constant and Attenuation)

Input

Dielectric constant εr
Loss tangent (Approximated expression for α and β are valid for small value <<1.) tanδ
Frequency f Hz
Length (for Attenuation) l m

Output

Attenuation Constant α Np/m
Phase Constant β rad/m
Wavelength λ m
Attenuation for length l dB
Attenuation per Unit Wavelength dB

【高周波用基板の誘電正接tan δの要求について】

高周波に用いる誘電体基板の損失指標である誘電正接tan δは0.001と同程度以下であることが要求されるが、それは、最後の式から次のように損失を見積もれるからである。高周波信号は線路で伝送されたり、ハイブリッド等の素子を通過する。ハイブリッドなどは1/4波長程度のオーダーであり、1つの素子は1/2波長程度の線路を通るのと等価となる。フィルターの構成素子も同じようなオーダーである。多段に素子を接続した場合は10波長程度の長さになると見積もった場合、誘電正接の違いによる損失は下の表のようになる。すなわち、tan δ=0.001の基板では、10波長程度の長さの線路を通過すると6.1%のエネルギーが熱損失となるわけである。この表の数値を見てわかるように、tan δ=0.001程度の基板が高周波では許容範囲(それ以上の基板はそう簡単には実現できない)であると言われるわけである。アンテナも1/2波長程度の長さがあり、さらに基板にも少し広がるので、同様の議論が通用する。

波長が長い低周波では、集中定数素子が用いられるため、基板の大きさは波長に比して短いことになる。そのため、tan δが大きくても基板での損失は無視できるオーダーとなるため、tan δの値はあまり気にされることはない。

tan δ  exp(-αλ) exp(-α(10λ))
S21 (dB) Loss (%) S21 (dB) Loss (%)
0.001 -0.027 0.63 -0.27 6.1
0.01 -0.27 6.1 -2.72 46.7
0.1 -2.72 46.7 -27.3 99.8

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