2006/1/25 平野拓一
晴れた日の空が日中明るく、青く見えるのは大気分子による太陽光のレイリー散乱が原因である。レイリー散乱では散乱エネルギーは周波数の4乗に比例するという性質がある。この性質を利用してMathematicaで空の色のRGB値を簡易的に計算してみる。
白色光はプリズムや回折格子で虹色に分解できる。波長の短いのが紫色であり、波長の長いのが赤色である。波長の短い順に色を言うと、紫(380nm〜430nm)→青→青緑(430nm〜490nm)→緑(490nm〜550nm)→黄(550nm〜590nm)→橙(590nm〜640nm)→赤(640nm〜770nm)となる(虹の七色)。
Mathematicaを用いて青空と夕焼けの色を簡易計算する。レイリー散乱では散乱エネルギーは周波数の4乗に比例するという性質から、赤色光の波長700nm、緑色光の波長500nm、青色光の波長430nmとして計算する。青空は(R,G,B)=(0.142391, 0.547008, 1)、255を最大とすると(R,G,B)=(36,139,255)となる。夕焼け空は透過光を見ることになるので、青空の場合の値を入射光強度I0から引けばよく、(R,G,B)=(I0-0.142391, I0-0.547008,I0-1)となる。
Matehmaticaで簡易計算すると、青空と夕焼けの色は次のようになる。
Mathematica |
写真 |
|
青空 |
(R,G,B)=(36,139,255) |
|
夕焼け空 |
(R,G,B)=(255,135,0) |
参考として青空と夕焼けの写真を載せてある。このような色になることが納得できるのではないだろうか。また、偏向特性も変わっている(リンク)のがレイリー散乱が起きていることのもう1つの証拠となる。
また、朝日と夕日は赤っぽく見え、昼の太陽は白く見える。そして、月も水平線に近いところにある月は黄色っぽく見え、上空高い場所にある月は銀色(白っぽく)見えるのもレイリー散乱で説明でき、光が大気をどれだけ長く通ってきたかによって変わる。
水平線付近 | 空高い時 | |
太陽 | (朝日) (夕日) |
|
月 |
[1] ファインマン・レイトン・サンズ:“ファインマン物理学II 光 熱 波動”、岩波書店、2002.
[2] 徳丸仁:“光と電波 −電磁波に学ぶ自然との対話−”、森北出版、2000.