説明 |
写真 |
偏光板なし |
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偏光板で P波を観察 |
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偏光板で S波を観察 |
上の写真は東工大ひょうたん池(2006.1.27)を撮った写真である。池に太陽と空が映っているが、それは空から来る光が池の水面で反射されて目に飛んでくるからである。もちろん、太陽光は池の底にも入射し、池の底からの反射波が屈折して目に飛んできてもいるので、池の底も見えるはずなのだが、水面での反射光の強度の方が強いので、池の底はそのままでは見えない。しかし、光(電磁波)の偏波の性質をうまく利用すると池の底を見ることができる。
池に入射する太陽光などの様々な偏波の合成された波でも、直交偏波(S波)と平行偏波(S波)の合成波として考えることができる(空の光は実際には空の偏光特性の実験のように偏光特性があるが、そんなに厳密な特性ではなく、ここでは様々な偏波の合成光と見なすことができる)。すると、それがブリュースター角で入射した場合、平行偏波は100%透過していくので、反射波は直交偏波のみとなる。透過波は両方の偏波を含むが、直交偏波はある程度反射するので、透過波の直交偏波成分は小さくなる。
分かりやすいように例をあげて説明しよう。
例えば、川の水面下にいる魚を飛んでいって捕まえる鳥がいるが、場所によっては太陽光の反射が眩しくて水面下を見ることができない場合がある。このとき、鳥が水面を見下ろす角度と太陽光が水面に入射する角度は等しく、その角度がブリュースター角だったとする。そのような鳥は目に平行偏波しか通さない偏光板を持っており、水面で反射した太陽光は100%直交偏波なので、それをカットすることができる。水中から来る光は水中から見ると透過波なので、両方の偏波を含んでおり、これによって、水中から来る光のみを見ることができ、魚を簡単に捕らえることができるのである(水中から空を見たときの全反射の例を見ると魚は全反射によって斜め上の空を見ることが出来ないので、鳥は斜め進入して水中の魚を狙えば非常に有利なことがわかる)。実際には物理現象はそんなに急峻ではないために、厳密にブリュースター角でなくても効果がある。ブリュースター角は反射波の偏波に偏りを持たせる角度なので偏光角とも呼ばれる。
このページの一番上の写真は今の例を実験してみた結果である。