2021/5/2 平野 拓一
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東海道は江戸の日本橋と京都の三条大橋を結ぶ江戸時代の交通の要であり、現在も大都市を結んでいます。電話などがない当時の手段は最速でも馬で、伝馬制(馬が各々の担当区間を往復して荷物運搬する)、そのインフラとしての宿場町がつくられています。今では新幹線のぞみ号に乗れば2時間8分で京都まで行けますが、歩くとどれぐらいかかって大変なのか実感するためと、多くの無名の史跡を発見できるかもしれないという期待がありました。また、ついでに、良い景色が見れて、地元の美味しいものを食べれるかもしれないと思って歩いてみました。収集データも歴史研究・文化向上などに役立てる方々のために公開します。
【補足】 なぜ東海道を歩いたのかという本当の理由は歩くためやチャレンジしたかったからではありません。筆者は2019年のゴールデンウィークに親戚が来て、一緒にディズニーランドに行くということになりました。ディズニーランドの雰囲気は好きではありますが、最近は外国人も多く、混みすぎていて全然満足感が得られず、行ったら不満しか残らない状況で、僕は行くのを止めました(行列に並ぶ時間が人生の時間の無駄になります)。朝荷物を持って東京駅の京葉線まで送ったのですが、またそのまま家に戻るのも時間と交通費がもったいないから何かできないかと立ち止まり、日本橋から横浜まで歩いてみようと思い立ちました(前から明治時代の建物や史跡巡りをして東海道沿線が気になってはいたのですが)。そして、その日は横浜まで歩きました(長距離20km以上歩くのは短・中距離歩くのとは疲れ方、足へのダメージが違うのをその日に痛感しました)。東海道が気になっていた理由は、昔ファミコンのゲーム「東海道五十三次」(サンソフト)で遊んで、BGMも良くて記憶に残っているというのもあります。世田谷の地蔵・庚申塔マップ製作にハマっていた時期もあり、また、柳田国男の「遠野物語」を読んで民俗学に興味を持ったこともあり、道中の地蔵・庚申塔の石塔を撮りためていたら、これは京都まで調べないといけないと奮い立ちました。
東海道ルート.kmz: 上の地図のKMZファイルを公開します。これをGoogleマップで読み込めば(KMZファイルをGoogleマップに取り込む方法)自分用のカスタマイズデータとしても利用可能です。余計なアプリのインストールは要らず、Googleマップさえあれば、自分の位置とルートを同時確認しながら歩けるので便利です。また、予め次のルートで絶対に見たいところをタップして「スター付き」にしておけば見逃しを回避できます。
ハイライトムービー
東海道Google Earthツアー
東海道を歩いた気分になる日本橋→京都へのツアーです。実際に歩いたときに地図として作ったKML(KMZ)ファイルを活用してGoogle Earthで生成しました。20分(マッハ1.2≒1,500km/h 相当)の遊覧飛行です。
ハイライトの詳細な場所は5章の地図で確認できます。
データが膨大なので、3分割しています。各区間の史跡データを見たい場合はそれぞれの地図を見てください。位置データはGPSの位置情報がファイルに入っていたのですが、データ圧縮するために、ファイルサイズ変更したので自動アップロードせずに、Googleストリートビュー、衛星写真を元に後から手動で入力しました(その作業中に見落とした史跡があることにも気付きました。)。
1: 日本橋~島田 | 東海道:日本橋→島田 (MyGoogleMap) |
---|---|
2: 島田~熱田 | 東海道:島田→熱田 (MyGoogleMap) |
3: 桑名~京都 | 東海道:桑名→京都 (MyGoogleMap) |
脇街道: 佐屋街道、佐屋路 | 東海道:宮→佐屋 (MyGoogleMap) |
東京に住んでいるので日本橋からのスタートです。最初の頃は日帰りが簡単でした。下の表中の青色、赤色の背景はそれぞれ宿泊してまとめて歩いた日程です。島田(静岡)以降の遠方では往復に新幹線を利用しました。もう少しまとめて歩きたかったけど、仕事と家の両方が開けられる瞬間しか出かけられないので、最長でも3日連続でした。17日間かけて歩き、合計10回の遠征で、表のように14万円ほどかかりました(ただ、満足度は100万円を超えます)。
歩く際には、本や紙の地図は不用で、2章で紹介したKMZファイルを自分のGoogleマップで開けるようにしておき、スマートフォンのGoogleマップで位置確認しながら進むだけです。ナビ用に使うスマートフォン(AQUOS SH-M05)は電池を温存したいので、長エネスイッチONにしました。箱根峠など、雨の中歩くと石畳で滑って転びます。宿泊ホテルなど、スマートフォンに全ての情報を入れて安心していると、もし壊れたときにホテルにたどり着けなかったり、新幹線予約を確認できなかったりするので(強打したのに幸い壊れなかったけど、壊れる可能性もありました)、ホテル名や新幹線予約のアカウント情報など最低限のものを紙にメモしておくといいです。写真撮影にはデジカメを使いましたが、1日に450-500枚撮っていたのでいつも最後は電池切れで、スマートフォンのカメラでしのいでいました。身軽な方がもちろんいいのですが、仕事も中断できないのでホテルで仕事ができるよう、ノートPCは持っていることが多かったです。
夏の炎天下に歩いた時は頻繁に喉が渇きます。ただ、どんな道でもそれなりに多くの自動販売機があるので、飲み物を持たなくてもあまり苦労しません。公園の水道で水浴びしたり、空いたペットボトルに水補充することもできます。あとは、個人差があるので、適当に自分で動きやすいように、と言うしかないです。
日 | 区間 | 距離 (km) | 総距離 (km) | 交通費 (円) | 宿泊費 (円) |
---|---|---|---|---|---|
1 | 日本橋→横浜 | 30 | 30 | 1,000 | |
2 | 横浜→茅ヶ崎 | 28.7 | 58.7 | 1,130 | 2,300 |
3 | 茅ヶ崎→小田原 | 25.9 | 84.6 | 1,400 | |
4 | 小田原→三島 | 31.3 | 115.9 | 2,230 | 4,410 |
5 | 三島→富士川 | 33.4 | 149.3 | 3,370 | |
6 | 富士川→静岡 | 33.4 | 182.7 | 1,920 | 4,200 |
7 | 静岡→島田 | 30.5 | 213.2 | 2,940 | |
8 | 島田→袋井 | 29.5 | 242.7 | 7,470 | 5,700 |
9 | 袋井→新居 | 37.4 | 280.1 | 4,752 | |
10 | 新居→国府 | 34 | 314.1 | 8,870 | |
11 | 国府→岡崎 | 21.9 | 336 | 8,870 | 3,000 |
12 | 岡崎→熱田 | 33.7 | 369.7 | 10,310 | 3,900 |
13 | 桑名→内部 | 21.5 | 391.2 | 11,380 | 3,900 |
14 | 内部→関 | 23.7 | 414.9 | 380 | 3,900 |
15 | 関→水口石橋 | 28.5 | 443.4 | 14,090 | |
16 | 水口石橋→草津 | 22.9 | 466.3 | 14,090 | 4,100 |
17 | 草津→京都 | 25.6 | 491.9 | 13,070 | |
計 | 491.9 | 102,520 | 40,162 |
歩いていろいろ峠を越え、改めて地図を見直してみると、真っ直ぐな平地を通ることが難しい(できない)ルートであることがよくわかりました。東海道新幹線は最高速度は285km/h出せますが多くのトンネルを通過し、カーブが多いので最高速はほとんど出せません(熱海駅ではトンネル&カーブで185km/h)。下の「東海道新幹線Google
Earthツアー(運転席ビュー)」の動画を見ると、カーブが多くどうしても最大速度を出し続けられないのがよくわかります。
旧東海道と東海道新幹線(東京→新大阪は515km)のルートの大きな違いは、宮宿(名古屋の熱田)から京都までの違いです。旧東海道は三重県を通って鈴鹿峠を越えますが、東海道新幹線は岐阜県を通り、関ケ原を通過して米原経由で南下してきます。上の東海道Google
Earthツアーを見ると鈴鹿峠を越えるには緩やかに長い距離登っていく必要があり、トンネルを掘るとしても長い距離掘る必要があることがわかります。関ケ原経由は長距離になりますが、トンネルは短くてすむのがわかります(この経路は政治的な理由が大きかったようですが)。
北陸新幹線も大きなS字を描いて東京から金沢に向かいますが、これも地形が関係していることがわかります。唯一、長い長いトンネルを掘っているのが新潟新幹線で、越後湯沢で一瞬地上を見れるものの、ずっとトンネルが続きます。よくこんなに長いトンネルを掘ったものだと感心します。東北新幹線はたまたま直線ルートの谷間があります。リニアは工事中ですが、ほとんどトンネルにしなければならないことがわかります。
どちらにしても、仕事が忙しくてまとまった休暇がとれない中、2日程度の日程が確保できたときに気軽に「行ってくる!」ということができたのも新幹線(と小形のノートPCとVPNのリモート仕事環境)のおかげです(6章の表の交通費欄が8の島田宿以降に一気に上がっているのは新幹線を利用したからです)。
箱根では東海道新幹線は熱海から三島に抜けるルートとなっています。下の航空写真を見ると、箱根は高さは負けますが、富士山並みに大きな火山(箱根山)になっているのがわかります。芦ノ湖は火山の火口跡にたまったカルデラ湖になってます。伊豆の大室山火口跡などは火口跡とわかりやすいけど、箱根山のカルデラは大きすぎて歩いて中に入るとカルデラとは気付きません。Google Earthで航空写真の立体図を回転させて眺めているとこのような地形に気付いて興味深いです。例え小田原から三島に抜ける長いトンネルを掘る技術があったとしても、マグマに当たってしまいそうです。浜松付近も大規模な亀裂が見えて断層となっているのがわかります(フォッサマグナ)。
東海道新幹線Google Earthツアー(運転席ビュー)
東海道新幹線の運転席から眺めた(ような)風景です。新幹線で線路は旧東海道に比べて直線に近いだろうから楽だろうと思ったら、線路から外れないようにパスを描くには相当密に点を打っていかなければならず苦労したことからも、かなりカーブが多いのがわかりました。
旧東海道のハイライトは綺麗な場所を抜き出して紹介していますが、ほとんどの道はつまらないアスファルト舗装の道路です。ただ、無名の石塔を探すという目的を持って歩いていたので楽しむことができました。各所でいろいろな歴史的な出来事があったこともわかりました。地蔵や石塔などな貴重な史跡で、道端で大切にされているの見て、いいものだと思いました。他にもいろいろなことを考察でき、大変有意義な旅(調査)でした。